お寺でらくがき? にわかに信じがたい話ですが、八幡市にある単伝寺は通称「らくがき寺」。絵馬に願いごとを書くように、お堂の白壁に願いごとを書いて祈願します。
地元の人々の協力で建立された大黒堂
今から200年ほど前、妙心寺の単伝和尚が人々を不慮の災難から救うために、けが除け・厄除けの救苦観音を安置し、荒れ放題だった寺を再興しました。1957(昭和32)年には地元の人々が協力して大黒堂を建立。このときから、大黒様に願いごとが見えやすいようにと、お堂の壁に書いてもらって奉納するようになったのです。
走って行って、願いを叶える「走り大黒天」
鎌倉幕府の倒幕に貢献し、のちに足利尊氏に討たれた楠木正成(まさしげ)。石清水八幡宮の改築にあたって、正成が武運長久を祈って寄進した楠の残り株から刻まれた「走り大黒天」が、大黒堂に祀られています。開運と福徳円満を授ける大黒天は、微笑みながら蓮華の実の上で袋を担いで走っています。
三国志の英雄である関羽も、この大黒堂に祀られています。人並み外れた武勇と義理に厚いことから敵の曹操にさえ一目置かれた関羽は、のちに神格化されました。中国華北省の廟に祀られて信仰を集め、縁あって単伝寺に安置するようになった関羽の像は「身代り関羽」と呼ばれ、病魔退散のご利益があるといいます。
一番大切な願いごとをひとつだけ
大黒堂の白い内壁に、いま一番叶えたい願いごとをひとつだけ黒のマジックで書きましょう。お堂内に水性ペンが用意されていますが、持参の黒ペンでもOK。より多くの人が願いごとを叶えられるように、なるべく小さく書きましょう。小さく書けるか不安な方には、枠もあります。