5月、6月は田植えの季節。水田に早苗が並ぶ、初夏らしい風景を目にすることがあるかもしれません。そんな頃、人気観光スポットの一つである伏見稲荷大社では、「田植祭」が行われます。昨年の祭の様子を交えながら、神田に苗を植える田植祭を紹介します。
五穀豊穣の信仰を集める伏見稲荷大社
伏見区にある伏見稲荷大社は、全国の稲荷大社の総本山。千本鳥居やお山めぐりなどで人気を集め、年間を通して国内外から多くの観光客が訪れます。
伏見稲荷大社は、五穀豊穣や商売繁盛の神様として古くから信仰を集めてきました。毎年6月10日に行われる田植祭は、ご神前に日々お供えするご料米の稲苗を神田に植え、五穀豊穣を祈願するお祭り。神事が行われる本殿は、豊臣秀吉が造営したとされる大きな楼門を通った先にあり、本殿前では稲穂を加えた白狐が迎えてくれます。
早乙女による昔ながらの田植え
本殿で神事を終えると、参列者は境内北側にある神田へと向かいます。神田は広さ330平方メートル程あり、その先には舞台が。神田のお祓いが行われた後、早苗が早乙女に配られます。早乙女とは、茜襷を身に纏い大きな菅笠を被った田に稲を植える人々のことで、早乙女は神田の中央から外側に次々と稲を植えていきます。今では中々目にする機会のない、人の手による田植えが見ることができるのです。
神楽女による「御田舞」の奉納
早乙女による田植えが始まると、舞台では「御田舞」が奉納されます。平安時代の汗衫装束を身につけた4名の神楽女が、「お田舞歌」に合わせて優雅な舞を奉納するのです。御田舞が終わる頃には、神田に早苗が並びます。
田植祭で植えられた稲は、10月の抜穂祭で収穫され、11月の新嘗祭で稲荷大神に供えられます。神田で収穫される米は約150キロ(二俵半)にもなるのだとか。田植祭は、6月10日の13時から行われます。昔ながらの田植えと優美な舞を見に、伏見稲荷大社を訪れてみませんか?