東山にある世界遺産の清水寺は、京都屈指の人気観光スポット。その清水寺で、春と秋の年5日間だけ見ることができる「青龍会・観音加持」を紹介します。
青龍の地で新たに始まった「青龍会」
京都は古くから、方角を司る四神に守られた「四神相応の地」とされてきました。四神とは、北の玄武、東の青龍、南の朱雀、西の白虎のこと。清水寺は東の青龍の地にあるお寺で、秘仏の本尊「十一面千手観音像」の化身である青龍が、夜な夜な音羽の滝の水を飲むという言い伝えがあります。また奥の院には、青龍と本尊を守る夜叉神(やしゃじん)が祀られ、悪縁を断ち良縁を結ぶ神として信仰を集めています。
そのような由来から、青龍会は2000年の本尊御開帳の際に結成。化身である青龍の誕生と開眼供養が行われました。以来毎年3月14・15日、4月3日、9月14・15日の5日間、人々の幸せを祈願しながら青龍が練り歩き、新たな風物詩となっているのです。
それぞれの役どころや装束にも注目
青龍会では、法螺貝を吹き行道の先布令を行う「転法衆(てんぽうしゅう)」を先頭に、法会儀式を指揮する「会奉行(えぶぎょう)」、人々の厄除け・招福を祈願し観音加持を司る「夜叉神」が続きます。行道で青龍を守護する「四天王」に、経典・大般若経を守護する十六体の神々の「十六善神(じゅうろくぜんじん)」も。そして中心には観音様の化身である青龍と、青龍を捧げる「龍衆(りゅうしゅう)」の姿が見られます。
午後2時頃になると、総勢40名ほどの青龍会の一行が奥の院に集まりました。
力強い青龍の舞を楽しむ
奥の院では、「八功徳水(はっくどくすい)の儀」が執り行われます。八功徳水とは、極楽浄土などにあると言われる八つの功徳を供えた水のこと。その水が夜叉神に渡されます。儀式を終えると、舞台で青龍が舞い始めました。全長約18mの青龍が、舞台いっぱいにうねるような舞は圧巻です。
青龍会は地主神社から音羽の滝、経堂、三重塔を通って、多くの参拝者が集まる西門へと向かいます。西門前の石段で再び青龍が舞うと、あちこちから歓声が上がりました。その後は清水坂を下り門前町を練り歩きます。行道中の夜叉神から、ご加持を受ける人の姿も見られました。
次回の開催は4月3日。桜と一緒に青龍会が楽しめるかもしれません。