三方を山に囲まれた、盆地にある京都市。その山々を巡る「京都一周トレイル」は、4つのコース、全長約80㎞で、自然を満喫しながら歴史や文化にも触れることができます。今回は、東山コースの「伏見・深草ルート」を紹介します。
歴史の舞台を巡る
伏見・深草一帯は、様々な歴史の舞台となった場所。平安時代末には鳥羽離宮が築かれ、政治や経済の中心地として栄えました。安土桃山時代には、豊臣秀吉が伏見港を整備して伏見城を築城。後に大規模な城下町が形成され、伏見港は京都と大坂を結ぶ水運の拠点としても発展しました。今でも歴史を感じることのできるスポットが、多数残されています。
2014年に開設された「伏見・深草ルート」は、京阪・伏見桃山駅から伏見稲荷大社・奥社までの約9.5㎞を結ぶもの。標識を目印に、見どころを巡りながら進みます。駅前の「東山№F1」の標識をスタートして住宅街を歩いていると、名水百選の一つ「御香水」がある御香宮神社が見えてきました。
大岩山から街を一望
御香宮神社から明治天皇の陵である桃山御陵の横を通り、乃木神社へ。乃木神社は明治天皇に殉死した陸軍大将・乃木希典(のぎまれすけ)を祀る神社で、境内には宝物館や日露戦争の司令部に使われていた記念館などが見られます。
乃木神社からは、お城の建つ伏見桃山城運動公園を目指します。お城の小天守と大天守を見上げながら公園を抜け、伏見から醍醐や宇治を結ぶ古道の八科峠を過ぎると、大岩山の登山口が。1㎞ほど登ったところにある展望所からは、伏見の街が一望できました。
稲荷山を歩き奥社へ
次に向かうのは大岩神社。展望所から新緑が美しい山道を下ると、何やら不思議な鳥居が見えてきました。これは日本画家の堂本印象が寄進した鳥居で、表面には菩薩や動物などをモチーフにした彫刻が施されています。
大岩街道に出て名神高速道路の高架下を通り、いくつかの分岐点を過ぎると竹林の道に出ます。稲荷山の社や滝行場の横を進み、十種の神宝が奉安されている「伏見神寶(かんだから)神社」へ。そこから少し下った、伏見稲荷大社の奥社がゴール地点です。
伏見・深草ルートでかかった時間は3時間ほど。京都トレイルの中で最も距離が短く、気軽にハイキングを楽しめます。