京都一との呼び声高い、パンケーキのお店「カフェ・ラインベック」。オーナーの平野顕子さんは能装束の織元のお家の生まれ。子供が大学に入るのをきっかけにアメリカへ留学し、料理研究家シャロル・ジーンにアメリカの伝統的な菓子作りを学びました。ラインベックの魅力はパンケーキだけではありません。バイタリティ溢れる彼女のこだわりのつまった空間を堪能してください。
アメリカンテイストと京都の町家の融合
店内に入ると京町家のどこか懐かしい空間にパンケーキの香りが漂います。カフェスペースは、フローリングと座敷にわかれています。フローリングのスペースには、リースやテディベアが飾られていたり、壁に英字雑誌の切り抜きが張ってあったり、アメリカンな雰囲気が、松や灯籠のある坪庭を臨む空間に不思議と馴染んでいます。
座敷では、装飾の豪華な民芸調の棚に、いずれも味わいのある骨董や古道具が並んでいます。壷や皿といった骨董らしいもののほかに、アマゾンにいそうな派手な色のカエルの置物、年代物の万力、生け花、陶器製の可憐なケーキなどが並びます。
そして、さりげなく古物商のプレートが置かれているのを発見。
そう、ここに置かれた調度品、どれも購入することができるそうです。気になるものがあったら、まずはスタッフまで。
最近では掘り出し市なるものが、定休日を利用して、カフェで開かれています。オーナーが買い集めてきたものが並ぶようです。開催日程などは、Twitterでチェックしてみてください。
焼きたてふわふわのパンケーキ
さて、本題のパンケーキ。メニューは、フルーツ(各種)、チョコレート、アーモンドや生クリームといった定番、そしてリコッタチーズなどがあります。
今回は、フルーツパンケーキ、そして季節限定・数量限定のマンゴーのパンケーキ、そして、リコッタチーズのパンケーキをご紹介します。
季節感のあるマンゴーのパンケーキは、とろっとしたマンゴーとふわふわの生地が絶妙の食感。独特の香りと強い甘みをもつマンゴーは、さわやかでコクのある生クリームとよくあいます。もちろん、フルーティーなメイプルシロップとの相性も抜群。キウイの酸味がアクセントになって、飽きがきません。
定番のフルーツパンケーキ。ポップなデコレーションにテンションもあがります。生地のふわふわの食感を楽しむために、メイプルシロップはかけずに、ディップするのがおすすめ。フルーツは、酸味や甘みもほどよく、パンケーキによく合う素材が選ばれています。
そして、リコッタチーズのパンケーキ。とろとろのリコッタチーズがたっぷり。こちらも絶妙の食感です。まずは、そのまま飲んでしまいたくなるほど美味しいメイプルシロップでいただきます。濃厚なリコッタチーズが生地によく合います。そして、おすすめはツナのディップを追加すること。一気にお食事パンケーキに早変わり。そして、これらを交互に口へ運べば、かなりのボリュームの2枚が、あっという間にいただけちゃいます。
西陣・京町家の魅力
カフェ・ラインベックの建物にも注目です。なんと、約200年前の町家です。町家と言えば、建物の顔といってもよい格子。メニュー看板がかかった風情のある格子は、糸屋格子と呼ばれるもので、繊維関係の店に使われたものです。格子のデザインは、呉服や糸を扱う家、酒や米を扱う家、炭や薪を扱う家、商いをしていない家などによって区別されていました。
そして、玄関から建物の奥まで続く土間があるのも、町家の特徴。これは、「通り庭」と呼ばれ、現在のラインベックにも見られます。入り口廊下となっている土間の奥が厨房。厨房の手前に井戸、待ち合いスペースがあり、今となっては貴重な町家の造りが楽しめます。
町家には必ずある「坪庭」は、薄暗くなりがちな日本家屋に光を取り入れます。小さな町家に奥行きと開放感を与える「坪庭」も、このカフェの見どころのひとつです。
パンケーキだけではないラインベックの魅力。パンケーキが焼き上がるまでの時間、あたりを見回せば、きっとなにか発見があります。