世界文化遺産の上賀茂神社の南側一帯には、室町時代から形成されたという、かつての社家(神官が暮らす家)が建ち並ぶ、風情ある町並みが残っています。その中で唯一公開されているのが、錦部(にしごり)家の旧宅である西村家別邸です。
明神川沿いに並ぶ社家の町並み
上賀茂神社の境内には「ならの小川」が流れています。境内を出ると名を変えて明神川に。その川沿いに社家町が広がっています。
清らかな川と土橋、土塀に囲まれた家々が織り成す素晴らしい景観は、上賀茂伝統的建造物群保存地区として大切に守られています。
西村家別邸へ
明治時代に建てられたとされる家屋の中から、美しい日本庭園が楽しめます。現存する社家の中では最も古い庭園で、1181年に上賀茂神社の18代目神主・藤木重保が作庭したと言われています。
散策が可能な奥庭には、ここでしか見ることのできないという原生植物の「カモシダ」(賀茂羊歯)が生えています。
庭園から見えてくる神官の暮らしぶり
北側の庭園は社家ならではの造りとなっています。
庭園を流れる小川は、明神川の水を取り入れたもの。小川では曲水の宴が行われていました。曲水の宴とは、小川に流された盃が目の前を通り過ぎるまでに詩歌を詠み、盃を取って酒を飲んでから次へ盃を流す行事です。
また、庭園には神官が神事の前に身を清めた禊の井戸や、上賀茂神社の御神体山である神山の降臨石をかたどった石組みがつくられています。
四季折々の美しい景色に加え、社家ならではの歴史や文化を知ることができるのが魅力です。