東山のふもとにある南禅寺は、三門や方丈庭園、南禅院(南禅寺別院)など見どころたっぷり。このような禅寺の風景と、法堂の南側にある煉瓦づくりの水路閣とのコラボレーションも趣があります。
南禅寺の歴史と格式
南禅寺は、1289年に亀山法皇が離宮として造営し、その後、1291年に禅師を迎え、禅寺としたものです。
禅寺の寺格を示す五山制度が定められると、後醍醐天皇によって五山の第一とされ、さらに室町時代には、足利義満によって五山よりも上の別格とされて、最高の格式を持つようになりました。
応仁の乱など火災で再建を繰り返し、現在の三門や方丈は江戸(慶長・寛永)時代のもの、法堂は明治時代のものです。
「絶景かな」の荘厳な山門
日本三大門の一つに数えられる南禅寺の三門は、見る者を圧倒する荘厳な造りが特徴です。大きな柱や梁、美しくアーチを描く屋根などは、力強さと、洗練された建築美を感じさせます。
三門は「天下龍門」とも呼ばれ、高さは22メートル。楼上では法堂をはじめ東山、京都の街並まで見渡すことができ、歌舞伎『楼門五三桐』の盗賊・石川五右衛門の名台詞「絶景かな、絶景かな」で有名な場所です。
琵琶湖の水が流れる水路閣
三門を通り南禅院の方へ向かうと、大きなアーチ形の、煉瓦づくりの建造物が見えてきます。これは琵琶湖から京都へ水を引く疎水の支線の水路閣で、1887年(明治20年)につくられました。古びた煉瓦が重厚感と風格を感じさせるうえ、趣ある境内で見る歴史的近代建築は独特の雰囲気です。
水路閣の上はちょっとした散歩道になっています。これからの季節、山間の紅葉を楽しみながらのんびりと歩いてみてはいかがでしょうか。