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首途八幡宮EC

牛若丸ゆかりの首途八幡宮で旅の安全を祈る

西陣織で有名な西陣地区に、牛若丸と呼ばれた源義経ゆかりの首途(かどで)八幡宮があります。「首途」とは、旅や物事の新たな出発のこと。古くから旅行安全の祈願で人気を集めています。

牛若丸、首途の地

定番観光スポットの京都御所と北野天満宮を結ぶ今出川通りのちょうど真ん中あたり。智恵光院の交差点を北へ行ってすぐのところに、首途八幡宮はあります。

首途八幡宮1
両隣は駐車場と公園。

悲劇の英雄と呼ばれる源義経。1174年3月3日未明、この頃、牛若丸と呼ばれていた義経は、兄弟との確執から鞍馬山を追われ、金売吉次という商人の屋敷で、彼と落ち合いました。そして、奥州平泉の藤原秀衡のもとへ逃げてゆく際、道中の安全を祈願したのが、屋敷近くにあった内野八幡宮でした。以後、首途八幡宮と名を変え、神徳が絶大であるとされると、参詣者で賑わいの絶えない場所となりました。

自らの旅の安全を祈るもよし、遠路はるばるやってきた外国人観光客を案内しても喜ばれるのではないでしょうか。ちなみに、その名も金売(かねうり)というこの商人は、「平家物語」「源平盛衰記」にも登場する伝説的人物です。

首途八幡宮2
枝垂れ桃も風情があります。
枝垂れ桃をめでる

鳥居をくぐると空気が一変し、清々しさを感じます。京都の寺院の多くがそうですが、小さくても寂れておらず、手入れが行き届いています。参道の両脇には、珍しい枝垂れ桃が植えられており、毎年4月に見頃の時期を迎えます。ベンチもあるので、のんびり桃の枝ぶりなど眺めるのもよいです。

首途八幡宮3
参道脇には、新たに植えられた枝垂れ桃もあります。灯篭も立派です。
丘の上の本殿で旅行安全を祈願

参道を歩いていき、再び鳥居を抜けると、2つの階段があります。全国でも珍しく、本殿が丘の上にあります。一説によれば、この場所はかつて古墳で、小高い丘はその名残だそうです。

首途八幡宮4
階段が2つあります。 もちろん、行き先は同じ。

小高い丘にある本殿には街の喧噪が届かず、ひっそりとしています。現在は小さな社と書道教室が開かれている社務所とあり、こぢんまりとしていますが、平安時代、平安京の鬼門に位置していたため王城を守る神とされ、天皇家から多大な信任を得ていた由緒ある八幡宮です。今でいうパワースポットだったといっても言い過ぎではありません。

首途八幡宮5
初穂料は賽銭箱へ。
神のお使い、福鳩をぜひお土産に

ところどころにひっそりと佇む可愛らしい鳩たちもみどころのひとつ。八幡宮といえば、福鳩ともいわれる鳩。八幡宮で御祭りされている誉田別命(ほんだわけのみこと)を、道案内したのが鳩でした。このことは、日本書紀にも記載されています。また、鳩は神のお使いであったともいわれています。鳩は昔から縁起のよいものだったのですね。

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手水舎にも鳩が。

賽銭箱の横には御清めの塩、おみくじも置かれています。そして、本殿横には、授与所があります。ここには、御朱印のほか、旅行安全、交通安全のお守りなどあります。オススメなのが、可愛らしい鳩のお守りです。ただ、授与所があいているかどうかは、運次第のようです。予め、電話で開いているか確認をしておくといいでしょう。

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福鳩に鮮やかな花柄がきれいな絵馬。
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向かいには西陣中央小学校。首途八幡宮は、西陣地区を代表する八幡神社です。

毎年、3月3日は、牛若丸の首途の日にちなみ、御神祭があり多くの人で賑わいます。最近では、今様舞の奉納、歌謡ライブ、夜の桃灯籠への点火などのイベントが、合わせて催されています。

前日の3月2日には、伝説的な金の商人であった金売吉次にちなみ、本金箔入りの昆布茶の無料接待もあるそうです。

今出川通りに引き返し、歩いて3分ほどの場所に人気のブランジェリー、ル・プチメック(金、土、日のみの営業)があります。週末の参拝ならこちらへの寄り道もおすすめです。

基本情報

この記事を書いた人

元伊佐
東京生まれ。京都在住。あらゆるジャンルの音楽を聴きます。美味しいコーヒーを求めて喫茶店巡り。散歩しながら神社仏閣へ。