東山の建仁寺は、京都最古の禅寺として知られています。その塔頭の一つの両足院では、6月6日~7月6日までの期間で庭園が特別に公開され、白く可憐な半夏生の姿を楽しむことができます。
「学問の建仁寺」の中隔となった両足院
臨済宗建仁寺派の総本山である建仁寺は、祇園の花見小路通の南端にあります。その境内にある両足院は、建仁寺を開山した明庵栄西禅師の法脈を受け継ぐ、龍山徳見禅師によって開山されました。室町時代中期まで五山文学の最高峰に位置づけられ、建仁寺の学問面での中隔を担う重要な寺院だったのです。
趣の異なる三つの庭園
両足院には、三つの庭園があります。一つ目は唐門前庭です。白砂と青松のコントラストが美しく、立て砂や菱型の踏み石が印象的な庭です。二つ目は方丈前庭です。桃山時代に作庭された枯山水庭園で、一面に広がる苔に自然石が配置されています。三つ目は、京都府の名勝庭園に指定されている池泉回遊式庭園です。池を中心に園路が巡らされ、庭園の北側には庭を一望できる二つの茶室が設けられています。
初夏にぴったりの涼しげな半夏生
池泉回遊式庭園は「半夏生の庭」とも言われ、初夏には半夏生が見頃を迎えます。穂のような総状花序にはたくさんの白く小さな花が咲き、上部の葉は白く変わります。まるで半分だけお化粧したようなその姿から、「半化粧」と言われることも。半夏生の葉は開花の時にだけ白く変わり、開花が終わるとまた緑に戻ります。池のほとりを彩る半夏生を、じっくりと眺めてみましょう。