秋を代表する花の一つに、萩があります。古くから野山に咲いていた萩は、秋の七草としても親しまれてきました。京都屈指の萩の名所である常林寺では、萩が見頃を迎えています。
若狭街道沿いに建つ萩の寺「常林寺」
常林寺は、京阪電車・叡山電車の出町柳駅のすぐ近く。車が行き交う川端通沿いに、小さな山門があります。常林寺は浄土宗のお寺で、1573年に念仏専修僧であった魯道によって開創されました。開創時は寺町通荒神口付近にありましたが、大火で焼失し現在の場所に再建されたのです。
境内には本堂と地蔵堂があり、地蔵堂には「世継子育地蔵尊」が祀られています。世継子育地蔵尊は子宝や安産のご利益があるとされ、昔から門前を通る若狭街道を行き来する人々の信仰を集めてきました。また常林寺は、幕末から明治の幕臣・政治家であった勝海舟が常宿としていたことでも知られています。
一面に咲き乱れる萩の花
常林寺は正定院や長徳寺と共に「砂川の三軒寺」と呼ばれていました。砂川とは鴨川に流れ込んでいた小川で、三軒寺のあたりは砂の河原に囲まれていました。この砂地が萩の生育に適しており、常林寺はいつしか「萩の寺」と言われるようになったのです。
境内を埋め尽くすほどの萩は、ちょうど見頃。観光で訪れる人は少ない静かなお寺なので、美しい萩をゆっくりと楽しめます。見頃は9月下旬まで続きそうです。常林寺で秋の訪れを感じてみませんか?