平安時代より、小正月に小豆粥を食すると、一年の邪気を祓い万病を除くと伝えられてきました。妙心寺の塔頭・東林院では、1月15日~31日の期間で「小豆粥で初春を祝う会」が開かれています。その初日の様子をお届けします。
初日の小正月に行う「小豆粥・散飯式」
小豆粥で初春を祝う会の初日には、禅の食事作法の一つである「生飯(さば)取り」を儀式化した「小豆粥・散飯式」が行われました。さば取りとは、食する前に般若心経や食事五観文を読み、自分に取り分けられた食から少量のさばを取って群衆に施すというもの。「さば取りの儀」ではまず般若心経を読み、ご住職が読み上げた食事五観文を参加者たちが復唱します。次に小豆粥がお椀によそわれ、一人一人からさばが集められます。続いて「庭園の儀」では、ご住職が集まったさばを手に沙羅双樹の庭へ。木々や庭の中央に置かれたうつわに、さばが供えられました。
本堂での福茶と祝い菓子のふるまい
小豆粥・散飯式が終わると、本堂で福茶と祝い菓子が振舞われました。福茶は梅干に白湯をそそいだ、ほんのり甘い梅湯。祝い菓子は七種あり、主菓子の「松の雪」をはじめ、結び笹、昆布、柿、豆、くわい、みかんと縁起物が並びます。くわいは良い芽が出ますように、みかん(橙)は代々続き栄えますようにと、その一つ一つに意味が込められているのです。
書院での小豆粥のふるまい
福茶と祝い菓子をいただいた後は、奥の書院へと移ります。その途中には千両の庭が。ちょうど見頃を迎え、赤や黄の実をいっぱいにつけた千両が緑の苔に美しく映えています。
書院では、小豆粥に大根とお揚げの炊き合わせ、黒豆や蛇腹昆布などの精進料理が振舞われました。ここでも食す前にさば取りを行います。邪気を祓うという小豆がたっぷりと入った小豆粥は、お米の甘さが感じられる優しい味わい。風情ある庭園を眺めながらいただく精進料理は格別です。東林院の小豆粥で初春を祝う会で、一年の無病息災を祈ってみませんか?
*「小豆粥で初春を祝う会」は予約不要です。