五条河原町近くにある上徳寺は、「京のよつぎさん」で親しまれているお寺。子授けや安産祈願の信仰が篤く、徳川家康ゆかりの寺としても知られています。そんな上徳寺で、2月の恒例行事の「世継地蔵尊大祭」が開催されました。
徳川家康の側室・阿茶の局が眠る寺
上徳寺は1603年、徳川家康によって側室の阿茶の局と泰栄院の菩提を弔うために、伝誉蘇生上人を開山に招請して建立されました。阿茶の局は家康からの信頼が厚く才知に長け、大坂冬の陣で本多正純と共に和議をまとめた人物。境内には泰栄院の供養塔や、阿茶の局の墓所が見られます。
また奥へ進むと世継地蔵を祀る地蔵堂があります。古くから良い世継を授かるご利益があるとされ、今でも多くの人が訪れています。
子授けや招福を祈願する「世継地蔵尊大祭」
上徳寺では、毎年2月8日に「世継地蔵尊大祭」が行われます。この日は一億日分もの功徳が得られるとされる「一億功日功徳日」。世継地蔵尊の功徳を讃えて、ご利益を祈願するのです。
午前10時になると、地蔵堂で「十種福祈願法会」が始まりました。法螺貝の音が鳴り響く中、5人の僧侶が地蔵堂の中へ。お経を唱え祈願する様子を、多くの参拝者が手を合わせて見守りました。お堂内での祈願を終え、僧侶たちは外へ。地蔵堂の裏手にある水子供養尊や延命地蔵菩薩などに拝礼をしながら一周し、法会は締めくくられました。
山伏による「柴灯護摩供養」
続いて午後2時からは、拝殿前で「柴灯護摩供養」が行われました。まず山伏が東西南北と天や正面の方角に矢を放ち、穢れを祓います。そして松明で火床に火が灯されると、モクモクと白い煙が。山伏は錫杖(しゃくじょう)を鳴らしながらお経を唱え、参拝者が納めた護摩木を次々と火の中へ投げ入れます。参拝者の願い事がしたためられた全ての護摩木が焚き上げられ、護摩供養は終了しました。
境内では酒粕汁や多幸焼(たこ焼き)の振舞も。参拝者は食べるとご利益のありそうな「多幸焼」を、美味しそうに頬張っていました。