「梅暦」という言葉があるように、古くから梅の花は春の訪れを告げる花として親しまれてきました。今年も春の陽気に誘われて、市内各地で梅が美しい花を咲かせています。梅の名所の一つである隨心院・小野梅園を訪ねました。
小野小町ゆかりの古刹
隨心院は真言宗善通寺派の大本山で、991年に仁海僧正によって創建されました。創建当時は、「牛皮山曼荼羅寺」と称されていましたが、第5世住職の増俊の時代に、曼荼羅寺の子房として隨心院が建立されました。1229年に後堀河天皇から門跡の宣旨を賜り、隨心院門跡として現在まで続いています。
隨心院は世界三大美女の一人と言われる、小野小町ゆかりの寺でもあります。隨心院がある山科区小野一帯は小野一族が栄えていた場所で、かつて小野小町もこの地で暮らしていたのだとか。小野小町が化粧をする際に使ったと言われる「化粧井戸」や、貴公子たちからの文を埋めたとされる「文塚」などを境内で見ることができます。
「はねずいろ」に染まる小野梅園
隨心院は梅の名所としても知られています。小野梅園には約200本もの八重紅梅が植えられ、例年3月中旬から下旬に見頃を迎えます。八重紅梅は、はねずいろと言われる白みをおびた薄い紅色の花を咲かせることから、「はねず梅」と呼ばれることも。はねずいろに染まる梅園を一目みようと、今年も多くの人で賑わっていました。
また毎年3月下旬には、「はねず踊り」が行われます。はねず踊りとは、はねずいろの衣装に身を包んだ少女たちが華麗な踊りを披露する伝統行事。小野小町と深草少将の物語「百夜通い」を題材にしています。小野梅園は3月31日まで公開されています。