嵐山は豊かな自然と数々の歴史的建造物が残る、京都屈指の人気スポット。その美しい景観を生かした、様々な催しが行われています。毎年5月の第3日曜日には、渡月橋上流の大堰川で「三船祭」が。新緑の山々を背景に行われた、祭の様子をお届けします。
車折神社祭礼の延長神事「三船祭」
三船祭は、車折神社例祭の延長神事として昭和3年より行われるようになりました。大堰川での船遊びの歴史は古く、平安時代に宇多上皇が大堰川で御船遊びをされたことが始まりといわれています。
三船祭の「三船」とは、平安時代に船遊びをする際に和歌・漢詩・奏楽の三つの船を浮かべたことに由来します。天皇の大堰川行幸の際にもこの三船が浮かべられ、諸臣それぞれ、得意とする船に乗せたのだとか。三船祭では、平安時代さながらの優雅な船遊びを見ることができます。
渡月橋を進む参進行列
12時半頃になると、渡月橋東側の中之島公園から参進行列が出発します。艶やかな衣装に身を包んだ行列は、渡月橋を渡り大堰川の北側へ。行列を一目見ようと、沿道には多くの人が集まっていました。
川沿いで宮司によるお祓いや祝詞奏上、船の清祓いが行われ、神事が終わると、いよいよ船遊びが始まります。まず「日本今様謌舞楽会」が乗る鷁首船と「いちひめ雅楽会」が乗る龍頭船が大堰川へ。しばらくすると清少納言役の女性が乗った「御座船」も川に浮かびました。
雅楽や扇流しなどの奉納も
龍頭船や鷁首船では、雅楽や今様の奉納が行われました。そして御座船では「扇流し」の奉納が。この扇流しは、かつて足利尊氏が天龍寺に参拝する際にお供が川に扇を落としてしまい、流れていく扇を見て喜ばれたことに始まるものです。
御座船に乗る清少納言役の女性が、そっと扇を川へ流します。扇は流れにのってゆらゆらと下流へ。岸に集まった人々は、扇が流れる風流な景色をゆっくりと楽しんでいました。