真言宗醍醐派総本山の醍醐寺は、世界遺産に登録され、貴重な文化財が数多く残るお寺。広大な敷地は三宝院・下醍醐・上醍醐の3つに分かれています。醍醐山上に広がる、上醍醐を紹介します。
醍醐寺開創の地である上醍醐
醍醐寺は874年に、聖宝埋源大師が醍醐山上に小堂宇を建立し、准胝観音と如意輪観音を安置したことに始まります。その後、醍醐・朱雀・村上天皇の信仰を得て、907年には醍醐天皇の御願によって薬師堂が建立。五大堂も落成して、上醍醐伽藍が完成しました。続いて釈迦堂や五重塔などが建立され、下醍醐伽藍が完成。後に三宝院も建立されて、現在まで続く醍醐寺の基礎が確立されました。
女人堂から参道を歩いて
下醍醐の仁王門から山の方向に進んでいくと、上醍醐への登山口にある女人堂に着きます。上醍醐は、修行道者の霊場として発展してきました。山頂まで、約2.6㎞の険しい道のりが続きます。
女人堂から1㎞ほど進んだところに、不動の滝があります。細い一筋の滝が流れ落ち、辺りに水音が響いていました。そこから小さなお社を過ぎ登り続けると、ようやく上醍醐寺務所の山門が見えてきます。
山上に建ち並ぶ堂宇を巡る
山門を過ぎると、まず見えてくるのが醍醐水の井戸があるお社。醍醐寺発祥の霊泉で、現在でも飲むことができます。その隣には国宝の清瀧宮拝殿があります。清水の舞台などで知られる、斜面に一部が張り出した懸造りが特徴です。2008年に落雷によって焼失した准胝堂跡を通り、国宝の薬師堂へ。薬師堂とその先にある五大堂は、醍醐天皇の御願堂として創建されました。
醍醐山頂には、重要文化財の如意輪堂と開山堂があります。現在の開山堂は、1606年に豊臣秀頼によって再建されたもの。内陣には、醍醐寺を創建した聖宝埋源大師の像などが安置されています。
紅葉狩りも楽しめる
如意輪堂前からは、伏見の街を一望することができます。空気の澄みきった時には、山科市内や京都市中心部まで見渡せることも。市内有数の桜の名所として知られる醍醐寺ですが、秋の紅葉もまた見応えがあります。中でも上醍醐は比較的人が少なく、ゆっくりと紅葉が楽しめる場所。山上の木々は色づき、ちょうど見頃を迎えていました。貴重な文化財と紅葉が楽しめる、上醍醐を訪れてみませんか?