世界遺産の醍醐寺で、毎年2月23日に行われているのが「五大力尊任王会」です。五大力さんの愛称で親しまれ、始まりは平安時代にまで遡るのだとか。災難や盗難除けの「御影」の授与や、「餅上げ力奉納」などが行われる五大力さんを、2018年の様子をもとに紹介します。
千年以上の歴史を持つ「五大力尊任王会」
伏見区にある醍醐寺は、874年に聖宝理源大師が上醍醐山上に堂宇を建てたことに始まります。約200万坪もの広大な敷地は上醍醐と下醍醐に分かれ、国宝の五重塔や薬師堂、風情ある三宝院庭園などが見られます。
「五大力尊任王会」が始まったのは、醍醐天皇の時代の907年のこと。国の平和や人々の幸せを願う醍醐寺最大の行事として、以来千年以上も続いているのです。
災難・盗難除けの「御影」を求めて
総門の先の桜の馬場にはたくさんの出店が並び、まるでお祭りのようなにぎやかさ。西大門(仁王門)をくぐると、国宝の金堂が見えてきます。金堂近くには、五大力さんの日にのみ授与される「御影」を求める人の列が。御影は本尊である五大力尊の分身で、7日間にわたり千人以上の僧によって祈祷されたものです。
授かった御影は山伏に渡し、護摩壇の火にかざしてもらいます。あらゆる災難を払い除けてくれるとされ、持ち帰って家やお店の入口に貼る人が多いようです。
横綱を目指して挑戦!「餅上げ力奉納」
五大力さんの名物となっているのが、大鏡餅を持ち上げて時間を競う「餅上げ力奉納」です。奉納は男女に分かれて行われ、まずは女子の部から。多くの見物客が見守る中、挑戦者は重さ90㎏の餅を力いっぱい持ち上げます。続く男子の部では、餅の重さは150㎏に。優勝者には名誉ある「横綱」の称号が贈られ、名前と記録が歴代優勝者の看板に記されます。
2019年の五大力尊任王会は2月23日(土)の9時から始まり、「餅上げ力奉納」は正午より金堂前で見ることができます。