12月になると、市内各地のお寺で「大根焚(だいこだき)」が行われます。鳴滝にある了徳寺は、「大根焚寺」として知られるお寺。12月9日・10日に恒例の大根焚が行われ、今年も多くの人でにぎわいました。
親鸞聖人ゆかりの了徳寺
御室川が流れる鳴滝の閑静な住宅街の一角に、了徳寺はあります。浄土真宗大谷派のお寺で、正西法師によって建立されました。御本尊は聖徳太子自らが彫ったとされる阿弥陀如来像で、その傍らには親鸞聖人坐像が安置されています。
浄土真宗の宗祖である親鸞聖人は、1252年に愛宕山の月輪寺を訪ねた帰りに了徳寺を訪れました。その際、村人たちに、お念仏の教えを説いたと伝えられています。


村人が振る舞った大根に由来する「大根焚」
親鸞聖人の教えに対するお礼にと、村人たちは塩炊きの大根を振る舞いました。それを喜んだ親鸞聖人は、束ねたすすきの穂を筆代わりに、釜の炭で名号を書き残します。この故事に因んで行われる報恩講(親鸞聖人の法要)が大根焚で、いつしか「大根焚寺」と言われるようになったのです。この大根を食べると中風にならないとも言われ、毎年多くの人が訪れています。


伝統の味を引き継ぎながら
大根焚に使われるのは、亀岡産の青くび大根。前日には約3000本もの青くび大根が届き、御門徒によって切り出されます。切り出された大根は樽に入れられ、当日の早朝から大釜で煮込まれるのです。
午前9時からはひっきりなしに参拝者が訪れ、一人一人に大根が振る舞われました。味付けは、長年引き継がれてきたもの。味のよくしみた熱々の大根を食べると、体が芯から温まりそうです。子どもから大人まで、美味しそうに大根をほおばっていました。


