ひな祭りは、平安時代の貴族の人形遊びに始まる伝統行事。3月3日には市内各地の神社仏閣で、神事や催しが行われます。世界遺産の下鴨神社で行われる「流し雛」を、昨年の様子を元に紹介します。
御手洗池・御手洗川で行われる「流し雛」
左京区にある下鴨神社は、京都の数ある神社仏閣の中でも長い歴史を持つ神社。世界遺産に登録され、参道に沿って広大な「糺の森」が広がっています。
本殿の東側には、井戸の上に祀られている末社の「井上社(御手洗社)」があります。そこから湧き出る水が御手洗池・御手洗川となって、境内から糺の森へと流れていきます。この御手洗池・御手洗川が、今回の流し雛の舞台。例年流し雛が行われる頃には、御手洗川の傍にある梅がちょうど見頃を迎えます。
お雛様とお内裏様の姿も
午前11時になると、井上社で神事が執り行われます。御手洗池の前には、十二単姿のお雛様と平安装束をまとったお内裏様、来賓の方々の姿が。そして神事が終わると、いよいよ「流し雛の儀」が始まります。
まず神職が流し雛を行います。和紙人形を乗せた桟俵(さんだわら)を御手洗池に浮かべると、ゆっくりと流れていきました。次に、お雛様とお内裏様が御手洗池へ。桟橋に座り、そっと桟俵を流しました。
桟俵に願いを込めて
続いて来賓の子どもたちや舞妓さんなどが、流し雛を行います。最後に子どもたちが「おひなさま」を合唱して、「流し雛の儀」は終了です。
その後は参拝者が、桟橋や石段から桟俵を流します。無病息災の願いが込められた、たくさんの桟俵がゆらゆらと流れていく様子は、ひな祭りならではの風情。平安時代さながらの雅な雰囲気が楽しめる、下鴨神社の「流し雛」を訪れてみませんか?