得浄明院(とくじょうみょういん)は、東山区の総本山知恩院山内にあるお寺。通常非公開ですが、毎年一初(いちはつ)の見頃に合わせて、特別公開が行われています。4月21日(土)から始まった(2018年)、「お戒壇巡りと一初鑑賞会」を紹介します。
信州善光寺如来の縁を結ぶ得浄明院
得浄明院は、1894年に信州善光寺大本願の京都別院の尼寺として建立されました。善光寺の117世・誓圓尼公(せいえんにこう)の開山で、寺の建つ場所はかつて知恩院入道親王坐住の華頂殿の敷地でした。当時は関西から信州の善光寺まで参拝することが大変だったため、「関西で善光寺如来の縁が結ばれるように」と建立に踏み切られたのだとか。本堂には、善光寺の一光三尊阿弥陀如来の分身が本尊として安置されています。
境内に咲き乱れる一初を楽しむ
毎年4月下旬から5月上旬にかけて、「お戒壇巡りと一初鑑賞会」が行われています。一初はアヤメ科のなかで一番早く咲き出す花で、得浄明院は一初の名所として知られています。
2018年は例年より見頃が早く、それに合わせて特別公開も1週間ほど早く始まりました。花は白と青紫の2色。青々とした葉と鮮やかな花が、初夏らしい爽やかさを感じさせてくれます。他にシャガやツツジなども見られ、参拝者を楽しませていました。
「お戒壇巡り」で阿弥陀如来の功徳を
得浄明院では善光寺と同様に「お戒壇巡り」をすることができます。「お戒壇巡り」とは、本堂下の真っ暗な戒壇を進んで本尊とつながる錠前に触れ、阿弥陀如来の功徳を得るというもの。本堂の東側には下へと続く階段がありました。下まで降りると、その先は真っ暗闇に。右手で壁を伝いながらゆっくりと進み、錠前を探します。錠前を見つけたら念仏を唱えて本尊と縁を結び、功徳を授かるのです。
「お戒壇巡りと一初鑑賞会」は5月5日(土)まで。連休のお出かけに、得浄明院を訪れてみませんか?