夏に見頃を迎える桔梗の花。青紫色の花が、涼し気な印象を与えてくれます。紫式部ゆかりの寺で、桔梗の名所でもある廬山寺を訪れてみました。
元三大師によって開かれた廬山寺
御所の東側にある廬山寺は、938年に元三大師(がんざんだいし)良源によって開かれました。元々は船岡山の南麓にありましたが、豊臣秀吉の時代に現在の場所に移転。皇室と深いつながりがあり、宮中の仏事を司る寺の一つとして重要な役割を担ってきました。
毎年2月3日には、元三大師が宮中で悪鬼を退散させたという故事にちなんだ、節分行事の「鬼法楽」を見ることができます。
「源氏物語」が生まれた場所
廬山寺の建つ場所には、かつて紫式部の邸宅がありました。紫式部はその邸宅で藤原宜孝と暮らし、一人娘を育てていたのだとか。そして59歳で亡くなるまでの間に、有名な「源氏物語」をはじめ、「紫式部日記」や「紫式部集」などの数々の名作を執筆したといわれています。
境内には、紫式部が幼友達に贈った歌が記されている歌碑があります。
源氏庭に咲く桔梗
例年6月末頃になると、山門には「桔梗見頃です」の張り紙が。桔梗が咲くのは、本堂前の「源氏庭」。白砂に緑の苔が美しい庭に、可憐な桔梗の花が彩りを添えていました。桔梗は「朝顔」の名前で、源氏物語の中にも登場しています。
桔梗の見頃は、9月頃まで。紫式部も愛した桔梗を、ゆっくりと眺めてみませんか?