左京区一乗寺の山の麓に、ひっそりと佇む狸谷山不動院。「タヌキダニのお不動さん」と親しまれ、毎年7月28日には無病息災を祈る「火渡り祭」が行われています。
たくさんの狸がお出迎え
白川通から曼殊院通を進むと、狸谷山不動院の交通安全自動車祈祷殿が見えてきます。本堂はそこからさらに10分ほど。参道入口では、たくさんの狸の像が迎えてくれます。
桓武天皇の勅願により、北東の鬼門を守護する咤怒鬼(たぬき)不動明王が安置されたことに始まる狸谷山不動院。真言宗修験道の大本山で、かつて剣豪の宮本武蔵が吉岡一門との決闘のために修行したのだとか。交通安全や厄よけ祈願、ガン封じの寺として信仰を集めています。
夏の風物詩「火渡り祭」
7月28日の夕刻になると、日頃は静かな境内がたくさんの参拝者でにぎわいます。午後7時からの火渡り祭を前に、本堂では護摩法要が行われました。法要が終わると、山伏らは法螺貝を吹きながら本堂下の火渡り祭道場へ。道場には、大きな護摩壇が用意されていました。
開式宣言がされ、いよいよ火渡り祭が始まります。護摩壇を清め、矢を放って結界を施すと、護摩壇の檀木を切り出す斧作法が。すべての作法が終わり、松明で護摩壇に火が点けられました。
お札を手に火床を渡る
護摩壇は勢いよく燃え、火柱が本堂に届きそうなほど高く上がっていました。火の勢いが弱まってくると火伏せの儀が行われ、火渡りのための火床が作られます。安全を願う九字が切られ、まず山伏らが火床へ。続いてお札を手にした参拝者が、山伏の加持を受けて火床を渡り始めました。
境内には参拝者の祈りが記された「祈り灯ろう」も。厳しい夏の暑さに負けないように、今年もたくさんの人が無病息災を願っていました。