三方を山に囲まれた、盆地にある京都市。その山々を巡る「京都一周トレイル」は、4つのコース、全長約80㎞で、自然を満喫しながら歴史や文化にも触れることができます。東山コースは、伏見稲荷駅から比叡山ケーブル駅まで続く24.6㎞の最長コース。今回は瓜生山登山口から、終着点の比叡山ケーブル駅までを紹介します。
東山三十六峰の一つ、瓜生山に登る
瓜生山の登山口からすぐのところに、北白川大山祇神社があります。山の神々を祀る神社で、木々に包まれた境内に苔むした灯籠が並び、幻想的な雰囲気。登山の無事を祈願しに、お参りしてみましょう。
沢沿いの細い道を進むと、「白幽子巌居之蹟」と記された石碑が見えます。白幽子(はくゆうし)は江戸時代に俗世との関わりを断ち、瓜生山に暮らした人物。書に優れ、仙人と呼ばれるなど様々な言い伝えがあります。そこから尾根を行くと、不動明王の使者である童子が並ぶ狸谷山不動院の巡礼道。そのまま進み、登山口から40分ほどで瓜生山の頂上に着きました。
戦場となった瓜生山
標高301mの瓜生山の頂上には、狸谷山不動院の奥の院があります。瓜生山は、室町幕府菅領・細川高国が城を築き、その後、武将の細川晴元軍に奪取されるなど、戦いが繰り広げられた場所。奥の院の裏手には、「勝軍地蔵」が安置されていた小さな石室が残っていました。
頂上からは、小城の出丸跡が続きます。途中眺めのよい場所もあるので、景色を楽しみながら歩きましょう。
音羽川から千日回峰行の道へ
やがて、大きな石鳥居が建つ「掛橋」と呼ばれる場所に出ます。いくつかのルートの分岐点になっていて、比叡山方面は音羽川沿いの道へ。岩場や急な下り坂を行き、小さな橋を通って音羽川を渡ります。「水飲対陣跡」の碑のところで、雲母坂から続く千日回峰行の行者道につながっていました。
東山コースの終着地、比叡山ケーブル駅へ
「水飲対陣跡」の碑からケーブル駅までは登り道。風が心地よい木陰の道をゆっくり歩いて、小高い丘にある「千種忠顕卿戦死之地」の碑が見えたらゴールは目前です。木の階段を登り切ると、空高くそびえる二つの鉄塔が。その先の市内を一望できる見晴らしのよい場所に、比叡山ケーブル駅がありました。
寺社仏閣など、たくさん名所を通る東山コース。観光がてら山歩きを楽しんでみてはいかがでしょう。