京都の南部地域は、全国でも有数のお茶の生産地です。上品な香りが特徴の「宇治茶」は、古くから高級茶として知られてきました。5月に入り、今年もいよいよ新茶の季節に。上質で美味しいお茶がいただける、老舗日本茶専門店の一保堂さんを訪ねてみました。
伝統の「宇治製法」で茶葉本来の香りと味わいを
京都市役所から寺町通を北へと進んでいくと、一保堂京都本店があります。1717年に茶や茶器などを取り扱うお店「近江屋」として創業し、その後皇族の山階宮より「茶を一つに保つように」と一保堂の屋号を賜りました。
一保堂さんでは、宇治製法でつくられた「京銘茶」を中心に取扱っています。茶葉は繊細で、気候の変化などによっても風味に影響が出るのだとか。その時々の茶葉の状態に合わせてブレンド(合組)し、昔から変わらない美味しいお茶を提供し続けているのです。
淹れる時間から楽しめる喫茶室「嘉木」
一保堂さんではこだわりの茶葉などを販売すると共に、お茶の淹れ方や楽しみ方なども伝えています。お茶を美味しくいただくためには、茶葉はもちろん淹れ方も重要なポイント。本店には、喫茶室「嘉木(かぼく)」が併設され、淹れ方を教えてもらいながら様々なお茶を楽しむことができます。
喫茶室では、まず抹茶、玉露、煎茶、番茶の中から1種類を選び、次にその中からお好みの茶葉を選びます。今回は煎茶の新茶をいただくことに。しばらくすると、茶葉や急須のセットが運ばれてきました。
お茶の香りに包まれる至福の時間
煎茶は、1回につき大さじ2杯(約10g)の茶葉を使って淹れます。まず急須に茶葉を入れて、湯のみに熱湯をとり、約80度に冷ましてから急須に注いでいきます。通常の煎茶は茶葉が開くのを1分ほど待ちますが、新茶は若い独特の香りを楽しむために20秒で湯呑みへ。黄金色に輝く新茶が姿を表し、ふわりと爽やかな香りが広がりました。
大さじ2杯の茶葉で、3杯ほど美味しくいただけます。今の時期にしか味わえない新茶を、ゆっくりと楽しんでみませんか?