平安時代に貴族によって用いられていた家紋。江戸時代後期には庶民にも広く親しまれるようになったと言われています。そんな家紋を取り入れてオリジナルグッズを作ることができる、型染め体験を紹介します。
奥が深い黒染めの世界
家紋工房の柊屋新七は、明治3年創業の京黒染めの老舗工房。黒留袖や喪服など黒紋服を染める京黒紋付染を行っています。「黒」と言っても色合いや深みは様々で、深みのある黒が京黒紋付染の特徴です。
黒紋服に家紋は欠かせないもの。しかし、長年、黒染めをされてきた中で、最近になって家紋が徐々に失われつつあると感じられたのだそう。そこで今一度、家紋を広く伝えたいとの思いで始められたのが、家紋を使ったオリジナルグッズの手作り体験です。体験では予め黒く染められた様々なアイテムに、お好みの紋を型で染めていきます。
個紋から家紋まで
型染めに使える家紋は、戦国武将ゆかりのものから現代風のものまで、実に5000種類以上も。また家紋により親しみやすいようにするため、四季折々の花を紋で表現した「366日花個紋」があります。自分の誕生日の紋を選んでオリジナルグッズを作ったり、贈り物にしたりしても喜ばれそうです。アイテムと紋が決まったら、次は染め糊の色選び。どの色も光沢感があり、黒に美しく映えます。染め糊を紋の型にのせていくと、あっという間に色鮮やかな紋が現れます。
名水・柳の水をいただく
工房の中には、かつて千利休が茶の湯に用いていたという名水の柳の水が湧きだしています。水は驚くほどまろやかで、現在も茶道や割烹の料理などに使われているほど。この柳の水が、工房がある「柳水町」の地名の由来になっているのです。また工房は織田信長の次男・織田信雄の屋敷跡に建ち、近くには本能寺跡が。戦国武将ゆかりの地で、体験を通して歴史や文化を感じてみませんか?